研究チームを作ること
ここでは、地域医療の現場での研究を想定して記載しています。大学の研究室と言う環境では、教授や准教授が多面的に指導するのが一般的ですが、現場での研究では、「いかに適切なメンバーで効率的なチームを作るか」が重要になってきます。
なお、途中でメンバーを増やすことはあまり好ましくありません。なので、初心者でうまく論文が書けないなら、論文執筆指導者(Mentor for paper writing)を最初から入れるべきです。
関連項目: Authorship
1.主体研究者:あなた自身
筆頭著者でもあります。
できれば、PBRを遂行する場合においても、大学などどこか研究機関の研究生、大学院生になることを勧めます。
1. 図書館などの研究機関のリソースを利用できる。
2. 同様の研究者から刺激を得ることができる。
3. 研究チームのメンバーを探しやすい。
2.研究指導者(Mentor) new!
指導者の資質に述べました。
PBR、Practice based HPRにおいては、指導者にも現場での経験が必要です。
現場の状況にうまく落とし込んでいくことが必要ですから。
かつ、筆頭著者や単著者の経験があること。医中誌やPubMedを探せばよいです。
なお、研究グループをOpenにできるかどうかは、指導者の技量です。例えば指導者に論文作成の経験がないなら、外部から自分が頭を下げて呼べばいいのです。
できるかどうかで、指導者が部下たるあなたが大切か、自分のプライドが大切かがわかる
3.研究デザイン・分析担当
主体研究者はデザインや統計学的解析の基本は知っておくべきですし、ソフトウェアを使って実施できるべきです。ですが専門家になる必要はありません。
こういう人を当初から入れておきましょう。
研究指導者が兼ねられる場合は幸運です。
4.論文執筆指導者(絶対必要) new!
どんなに研究成果が良くても、それを関心ある人々に読んでもらえなければ意味がありません。研究成果なのですから、論文にならなければ後世に残らず、無に等しいのです。
読みやすく明快で、したがって読んでもらえる文章の作成には経験と熟練が必要です。内容がどうのこうの言う前に、まずEditorに読んでもらえなければ話になりません。
研究指導者が兼ねられる場合はとても幸運です。できるかどうか、指導者の筆頭業績を調べてみましょう。
できそうになければ、外部からMentorを入れることを指導者に提案しましょう。勇気がいるでしょうが、あなたの研究が形になるかどうかの分かれ目です。
Inoue Methods参加者@facebookの関連発言です。Medlineに掲載され、Impact Factorもついている国際雑誌のEditorをしています。
「アブストラクト全体とイントロダクションの第一パラグラフの英語は特に入念にチェックしましょう。そこが読みにくいと「落そうかな」という心理がeditorに働きます(内容はどうあれ)。実体験より。」
「毎年90本近くの投稿論文の採否決定を強いられる身にとって、読みにくい論文は「悪」です。一文が短文、明瞭、無理のない流れ、結論から始まるパラグラフ、など作文の基本技術は押さえておくのが大事かと思います。」
Inoue Methods作成者は、無論完全に同意です。そう言う意味で、実際の論文指導ができる人、できれば編集者や査読者経験を持つ人を入れておくことは意味があります。少なくとも、あなたの所属の関係者だが論文に何も貢献しない人をGift Authorshipで入れるより1万倍ベターです。
論文を書き慣れた人を共著に入れる、それがあなたの労苦が結実する圧倒的な近道である
→そしてあなたも経験を積み、共著者として若手の指導をすればよい
5.Corresponding author (Inoue Methods)
Corresponding authorのCorrespondenceとは、連絡をとるとか応対するという意味です。ですので、「論文にかかわる対外的業務を担当する著者」ということになります。ですので雑誌への投稿、それ以降の校正のやり取り、別刷りの請求、あるいは読者からの問い合わせ窓口などをします。ですので、論文投稿時に雑誌から、Corresponding authorを指定することを要求されます。
こういうことから、Corresponding authorは筆頭著者、論文指導者、そして(著者の資格のある)教授・准教授がなることが多いですが、分野によっていろんな意見があるようですし、人によっても違うようです。(参考サイトA, B, C, D)
Inoue Methods作成者は、Correspondenceもまた研究教育の一環と考えています。
1. Inoue Methods作成者の論文に研究初心者が参加する場合→Corresponding authorになってもらう
2. 研究初心者自身の研究→無論本人がCorresponding author
ただし、どちらの場合においても、「Inoue Methods作成者の指導のもとに」という付帯条件がつきます。Correspondenceですので、経験が必要な場合も多々あるからです。
サポートしてくれる人々
診療所であれば、看護師、事務の担当などで協力してくれる人がいれば頼みましょう。
貢献してくれた方は、論文中の謝辞(Acknowledgments)に記載します。
こういう人々がいることは、現実に研究を遂行する上でとても良いことです。
研究だけでなく、普段から良い人間関係を作っておくことですね。