Inoue Methods
各項目は英語ですが、日本語の説明も冒頭にあります
・どうやって多忙な日々の臨床の中で研究し、分野を問わず論文を作成するか
・しかも楽しく
自分の経験について、述べます。
私の経験から編み出した方法(Inoue Methods)です。ただし、個々のものがオリジナルではありませんし、そう主張するつもりもありません。その集合体として、「こうやっている」と考えてください。
なお、単語としては英語の記述もありますが、和文論文も全く同じと考えてください。論文である以上、基本的な構造や要素は全く変わりません。
「英単語はちょっと」と言う人はWeb辞書を活用ください。あるいはキングソフト辞書を使えば、画面でマウスオーバー辞書(マウスを持っていったら自動的に翻訳が出る)が使えます。どちらも当然無料です。(ただし後者はWindows 7 64bitでは動かないかも)
全体的手順
0.筆頭著者(研究代表者)によってそのテーマでの前調査
・What is already known.(これまでにわかっていること)
・What this study will add (I hope).(この研究でわかるだろうこと、希望でOK)
・あらかたの文献検索ができていること
・できれば、筆頭著者の思いが一文(タイトル原案)になり、それを支持するデータがあると良い
・両方とも一度で決定、外部の著者も積極的に入れる→反面教師(危ない指導者)
↓
2.投稿雑誌を決め、投稿種類(原著ならOriginal articleかShort reportか)も決める
・適切な著者チーム、適切な投稿雑誌が勝負の大半を決める
↓
3.Suite to start、つまり基本4点セットを作る
・両開きの透明ファイルにいつも少し前のバージョンから最新版を入れておく
・Title、Abstract(抄録)、Figures and tables(図表)を行きつ戻りつして作成
・Originality boxを作る
・ここからPaper writing wheelを回す
・(New!)基本4点セットを各著者に見せて、アドバイスをもらう。
↓
4.論文本体(メインテキスト)作成
・作成順 Methods→Results→Discussion→Introduction
・このSequence(順序)の背景
・過去から現在の結果へ、そしてまだ見ぬ読者へ
・簡単なものから作っていく
↓
5.再び基本4点セットへ(Paper writing wheel一巡)
・各要素の整合性が取れるまで繰り返す(要素間、そしてOriginality Boxと)
Note:学会発表で1サイクル、論文作成で次の1サイクルと言う考え方もできます。前者は一種の情報開示ですので、1サイクルくらいしておかないと、同様アイデアで論文で先を越されるかも知れませんから(このくらいの注意は必要です)。英語が苦手な著者が和文で1サイクル、次を英文で1サイクルと言う考えもOKです。
それと、完全なBilingualつまり英語が日本語と同等クラスでない限り、最終的には論文はNative Checkを要します。
ですので、引け目にならず、論文本体を良くすることだけを考えればいいのです。
Inoue Methodsの普遍性
Originalty boxやStructured discussionと共通するConceptの例です。これは私が2nd authorとして論文指導したものです。
この論文作成時に、筆頭著者はこの各要素、
・WHAT IS ALREADY KNOWN IN THIS AREA
・WHAT THIS PAPER ADDS
・SUGGESTIONS FOR FUTURE RESEARCH
以上の作成を要求されたはずです。Inoue Methodsでやればおのずから、この各要素が完成します。
なお、他でも述べていますが、個々のものがOriginalであると主張するつもりはありません。科学の世界で記述されるべきことへのアプローチと言う点で、出自はどこであっても、目標は同じであるということでしょう。
Inoue Methodsへの反論
なお、Inoue Methodsへの反論があるかもしれません。
「ここは間違っている」、「これでは論文はかけない」など
You are also right as long as your opinion is based on real experience. Please show us your context and setting.
あなたもまた正しい(それが実際の経験に基づいている限り)。どういう状況でその方法をしてきたかを教えてください。
Inoue Methodsは作成者が、作成者の環境・状況(山村へき地の診療所)で、試行錯誤をしながら研究の遂行に向けて作り出したものの集合体です。もちろん作成者は、この方法が大学など研究機関でも通用すると信じています(事実そうやってきた)が、勿論他の方法もあるでしょう。読者はその個々の状況を知ったうえで、各々の方法を見て判断すればいいのです。
Disclosure is 'Panacea.'(情報開示は万能薬である)
Theory and practice must come together.(理論と実際は同時に提示されるべき)