(重要)本ページ「COVID-19と結核」はサブページを含めて、一研究者としての調査に基づく意見を述べたものです。従いまして、所属する組織の意見を代表するものではないことを銘記しておきます。

Here comes the time to calm down for people and society.(人々と社会のために冷静になるべき時が来た)

昨年冬、中華人民共和国湖北省省都、武漢市にて発生した新型コロナウイルス(SARD-CoV-2)による感染症(COVID-19)は瞬く間に広まり、全世界を震撼させました。日本においても始めは隣国とは言え、海を越えた地域での話と考えていました。しかし年が明け、1月、2月そして3月という比較的短時間の間に急速に拡大し、深刻な問題と認識され、今に至っています。加えて、このSARS-CoV-2が従来の人由来ではなく、異種動物(コウモリなど、まだ未確定)由来であるとされ、人類がまだ抵抗性(免疫)を有してない可能性があることも、恐怖を増大させました。そして日本に先行して、欧米諸国でCOVID-19のパンデミックとそれによる重大な被害を私たちは目のあたりにしました。この時点において、最大限の危機管理と社会活動の制限は当然のものだったと思います。

しかしながら、時間がたつにつれて重大な事実が浮かび上がりました。感染者数あるいは割合(感染率)、死亡者数あるいは割合(死亡率)において国・地域間であまりにも大きな差が見られ、これについて多くの可能性が論議されました。人種、文化、食事あるいは他の生活様式など多岐に渡ります。

 

それらの社会的要因は、上記に述べた疾病負荷(感染率、死亡率)の2桁に上る差異を説明しえません。やはり何らかの生物学的要因があると考えるべきです。そしてもしそうであるなら、最善の対応は、各々の国・地域で暮らす人々の生物学的要因を考慮して、疾病負荷と社会影響のバランスをとりながら行われるべきと考えます。

 

現在、その謎を説明する生物学的要因として、BCGつまり「ウシ型結核菌由来する結核予防に使う生ワクチン」の国・地域別差異が提唱されています。そしていくつかの臨床治験も既に始まっています。つまり、BCGワクチンを接種して、COVID-19に対する予防効果を検証するのです。この理論的根拠として、BCGによる非特異的訓練免疫(non-specific trained immunity)*があります。

*Arts, R. J. W. et al. BCG Vaccination Protects against Experimental Viral Infection in Humans through the Induction of Cytokines Associated with Trained Immunity. Cell Host Microbe. 2018 Jan 10;23(1):89-100.e5. doi: 10.1016/j.chom.2017.12.010. その他論文多数

 

しかしながら私はこの仮説を考えるとき、こう思います。

 

「何か大事なことを忘れちゃいませんか?」

 

・BCGワクチンは何のために開発されたか、それは結核の予防である(重症化を含む)

・BCGワクチンの結核に対する予防効果は、15-30年である

・BCGワクチンは臨床的結核の発症予防効果があるが、それは完全ではない

・BCGワクチン接種により、結核に感染しても発症しないことが多い(潜在性持続感染)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮説:COVID19と関連を有するのは結核である(BCGではなく)

まず私の仮説から言います。それは、

 

「COVID-19の国・地域間格差(特に高齢者死亡)は、

過去における結核暴露(感染)の格差によるものである」

 

この仮説に沿って、以下の項目を説明していきます。各々、サイトの左上にある同名のサブページにリンクしていますので、お読みください。

関連データベース

Coronavirus - Worldometer *毎日アップデートされる世界各国のSARS-CoV-2情報