Discussionは考察ではなく、議論・討論である(読者と!)

まずこれを銘記してほしいと思います。「考察」となると、著者らは結果で得られたことの「著者だけが考える」意見、つまり結果の解釈をすると考えがちですが、これは完全に誤りです。考察するとなると、著者は次の失敗をおかしやすくなります。

 

「Resultsで得られた結果からさらに著者の思いが加わって、言い過ぎ(overstatement)になる」

 

無論、得られた結果について例えば、なぜそうなっているかの著者としての推測(Speculation)はあってよいのですが、それは結果とは明確に区別されなければなりません。Discussionは本来辞書にあるように、議論・討論と理解されるべきです。すなわち、記載された方法を用いて得られたものを結果として読者に提示し、それについて「読者と討論する」ことです。ですので、記述する内容は結果から言えること(それが本筋)から展開するべきで、直接結果とは関係ない事項をあたかも本筋のように記載しないことです。

 

ならば、読者と良き討論をするにはどうしたらいいでしょうか。

*全ての議論すべき材料がある

  →Disclosure is 'Panacea.'(情報開示は万能薬である)

*それらがわかりやすく構造化されている

  →Structured Discussion

Structured Discussion

Discussionが3番目に来る理由です。

・Resultsを受けて、Main findings(Discussionの冒頭)が書けるから

・書くべき内容が(Methodsほどでなくても)決まっているから

・構造化議論(Structured discussion)で、以下の構成で書く

*以下はDiabetic Medicine論文のDiscussionからの例示です。

 

1.  Statement of principal finding

主知見(せいぜい数文章で):この研究でわかったこと

In this study of 7,929 persons, we found that two consecutive FPG levels predicted progression to diabetes substantially more accurately than did a single FPG level. 

この7,929名を対象とした研究で、我々は2回の空腹時血糖測定が単回測定よりもかなり正確に糖尿病の発症を予測することを明らかにした。

PBRではほとんどが仮説(ないしは疑問検証型)になります。あなたが研究開始時に浮かんだこと、それがTitleの原型になるわけです。もしそれが研究から導き出されたことと合致すれば、ここではそれに具体的が情報を入れて肉付けします。それでOK!


2-1. Feature of the study alone

この研究の特色:いいところ

When considering the relative inexpensiveness of FPG measurement and countries/areas where other tests (for example, HbA1c) are not routine, this results would have clinical relevance.

空腹時血糖測定が安価であることを考慮した場合、そしてヘモグロビンA1cのような検査が一般的でない国々においては、この研究結果は臨床的に意義がありうるであろう。

→この研究結果の「売り」です。あなたの研究結果は、誰に、どこに、あるいは取り扱った事柄の何に有益な情報をもたらしましたか? この論文の場合は、上記の通りです。それを記載すれば、OK!


2-2. Strengths and weaknesses in relation to other studies

先行・類似研究との比較

It is of note that Tsai et al. reported that persistent fasting hyperglycemia (PFH) with the same definition may be a transition state between normal and impaired glucose tolerance in the progression toward type 2 diabetes in a population based study [25].

Tsaiらの(先行)研究はとりあげる意味がある。彼らは、2回測定での「持続性高血糖」、これは我々の研究と同定義であるが、ブドウ糖負荷試験において正常耐糖能から異常耐糖能の移行状態である可能性を、ある人口集団の調査で指摘した(以降略)。

→先行研究は主なものを1-3程度挙げましょう。比較の上で論じたほうが、読者はわかりやすいのです。それらのほうが全てにおいて上回っていれば困りますが、世の中良くしたものです。人の作ることにそこまで差がつくことはあまりありません。先行研究の特色は認めつつ、臆することなくあなたの研究結果の(比較の上での)特色を語りましょう。*ふあー、ねむーー、コーヒーでも飲むか(独白)・・・・コーヒー飲んで、これであなたもOK!


3. Limitations

研究の限界(結果に影響を及ぼし得るものはその記述も):だめなところ

Some limitations exist in this study. First, since the study subjects participated on a voluntary basis, they may be healthier than the general population, causing a selection bias. About one-half of those who had health check-ups underwent a single FPG measurement rather than two during the baseline period, and thus were excluded from this study, which is another area of potential bias. 

いくつかの限界がこの研究にはある。まず研究対象者はこの健康チェックプログラムに自発的に参加している。よって本当の一般集団よりは健康に関心を持ち事実より健康(健康労働者効果と類似)かもしれない、これは選択バイアスとなりうる。

Note: Limitationはこれ以外にも3つほどあげています。

→Limitationはとても重要です。正確に記述することで、著者のあなたが冷静か、insane(舞い上がっていないか)がわかります。3-4点までに絞って、読者に伝えるべき「理想までの距離(これがLimitation)」を記載しましょう。→これであなたのLimitationもOK!


4-1. Meaning of the study: possible explanations and implications 

研究の意味づけ:結局こういうこと

Thus, the combined use of FPG levels measured twice is more specific to identifying the higher risk individuals with persistent IFG by excluding such naturally reverting subjects to NFG and taking into account these intra-individual variations. 

(前の文脈を受けて)したがって、空腹時血糖の2回測定を組み合わせることは、Impaired fasting glucoseが持続的に存在する、したがって一過性に高血糖になる場合を除外でき、かつ空腹時血糖値の個人内変動も除外できて将来糖尿病に進展する高リスクの人々を同定できる。

→冒頭にあるMain Findingsを裏打ちする、研究から得られた根拠といってもいいです。無論、通読した読者には自明ですが、ほとんどの読者は通読してくれません。若干繰り返しになってもいいですので、念を押しておきます。→これで「どういうことかもっかいかいつまんで教えて」に応えられる、OK


4-2. Unanswered questions and direction for future research 

この研究で見えたわかってないこと(そして解明されるべきこと)

Thus, whether persistent fasting hyperglycemia is another pre-diabetic category where preventative measures have substantial outcomes is feasible for study. 

この2回測定による持続的高血糖が、Impaired glucose toleranceと同様、生活習慣改善や薬剤(メトフォルミンなど)による糖尿病発症に有効か*どうかは、将来の研究が待たれる。

*(1回の)Impaired fasting glucoseでは証明されていない。

→ここが「知識の輪→S君への手紙」をつなげている部分です。これであなたもS君!


5. (if necessary,) Summary

要約、最後の締めくくり

In summary, this study indicated that the combined use of FPG measured twice more effectively predict the progression to diabetes than a single FPG. In particular, persistent IFG adds more substantial precision to the prediction of future diabetes than transient IFG. 

まとめると............(同様の結論)

→Inoue Methods作成者は最近とみに、「ここはいらんなあ」と思っています。→作らんでもいい、これであなたも時間の節約!

 

Note

1. このOriginalはBMJのサイトにありました(現在閲覧不能)。ですが、Inoue Methodsでかなり改変しています。

2. 5のSummaryは、本質的には不要と考えています。上を見ればわかります。

3. Limitationは怖れず、ためらわず記述。Disclosure is 'Panacea.'

   (情報開示は万能薬である)


Discussionが3番目に来る理由です。

・Resultsを受けて、Main findings(Discussionの冒頭)が書けるから

・書くべき内容が(Methodsほどでなくても)決まっているから

・構造化議論(Structured discussion)で、以下の構成で書く

*以下はDiabetic Medicine論文のDiscussionからの例示です。

 

1.  Statement of principal finding

主知見(せいぜい数文章で):この研究でわかったこと

In this study of 7,929 persons, we found that two consecutive FPG levels predicted progression to diabetes substantially more accurately than did a single FPG level. 

この7,929名を対象とした研究で、我々は2回の空腹時血糖測定が単回測定よりもかなり正確に糖尿病の発症を予測することを明らかにした。

PBRではほとんどが仮説(ないしは疑問検証型)になります。あなたが研究開始時に浮かんだこと、それがTitleの原型になるわけです。もしそれが研究から導き出されたことと合致すれば、ここではそれに具体的が情報を入れて肉付けします。それでOK!


2-1. Feature of the study alone

この研究の特色:いいところ

When considering the relative inexpensiveness of FPG measurement and countries/areas where other tests (for example, HbA1c) are not routine, this results would have clinical relevance.

空腹時血糖測定が安価であることを考慮した場合、そしてヘモグロビンA1cのような検査が一般的でない国々においては、この研究結果は臨床的に意義がありうるであろう。

→この研究結果の「売り」です。あなたの研究結果は、誰に、どこに、あるいは取り扱った事柄の何に有益な情報をもたらしましたか? この論文の場合は、上記の通りです。それを記載すれば、OK!


2-2. Strengths and weaknesses in relation to other studies

先行・類似研究との比較

It is of note that Tsai et al. reported that persistent fasting hyperglycemia (PFH) with the same definition may be a transition state between normal and impaired glucose tolerance in the progression toward type 2 diabetes in a population based study [25].

Tsaiらの(先行)研究はとりあげる意味がある。彼らは、2回測定での「持続性高血糖」、これは我々の研究と同定義であるが、ブドウ糖負荷試験において正常耐糖能から異常耐糖能の移行状態である可能性を、ある人口集団の調査で指摘した(以降略)。

→先行研究は主なものを1-3程度挙げましょう。比較の上で論じたほうが、読者はわかりやすいのです。それらのほうが全てにおいて上回っていれば困りますが、世の中良くしたものです。人の作ることにそこまで差がつくことはあまりありません。先行研究の特色は認めつつ、臆することなくあなたの研究結果の(比較の上での)特色を語りましょう。*ふあー、ねむーー、コーヒーでも飲むか(独白)・・・・コーヒー飲んで、これであなたもOK!


3. Limitations

研究の限界(結果に影響を及ぼし得るものはその記述も):だめなところ

Some limitations exist in this study. First, since the study subjects participated on a voluntary basis, they may be healthier than the general population, causing a selection bias. About one-half of those who had health check-ups underwent a single FPG measurement rather than two during the baseline period, and thus were excluded from this study, which is another area of potential bias. 

いくつかの限界がこの研究にはある。まず研究対象者はこの健康チェックプログラムに自発的に参加している。よって本当の一般集団よりは健康に関心を持ち事実より健康(健康労働者効果と類似)かもしれない、これは選択バイアスとなりうる。

Note: Limitationはこれ以外にも3つほどあげています。

→Limitationはとても重要です。正確に記述することで、著者のあなたが冷静か、insane(舞い上がっていないか)がわかります。3-4点までに絞って、読者に伝えるべき「理想までの距離(これがLimitation)」を記載しましょう。→これであなたのLimitationもOK!


4-1. Meaning of the study: possible explanations and implications 

研究の意味づけ:結局こういうこと

Thus, the combined use of FPG levels measured twice is more specific to identifying the higher risk individuals with persistent IFG by excluding such naturally reverting subjects to NFG and taking into account these intra-individual variations. 

(前の文脈を受けて)したがって、空腹時血糖の2回測定を組み合わせることは、Impaired fasting glucoseが持続的に存在する、したがって一過性に高血糖になる場合を除外でき、かつ空腹時血糖値の個人内変動も除外できて将来糖尿病に進展する高リスクの人々を同定できる。

→冒頭にあるMain Findingsを裏打ちする、研究から得られた根拠といってもいいです。無論、通読した読者には自明ですが、ほとんどの読者は通読してくれません。若干繰り返しになってもいいですので、念を押しておきます。→これで「どういうことかもっかいかいつまんで教えて」に応えられる、OK


4-2. Unanswered questions and direction for future research 

この研究で見えたわかってないこと(そして解明されるべきこと)

Thus, whether persistent fasting hyperglycemia is another pre-diabetic category where preventative measures have substantial outcomes is feasible for study. 

この2回測定による持続的高血糖が、Impaired glucose toleranceと同様、生活習慣改善や薬剤(メトフォルミンなど)による糖尿病発症に有効か*どうかは、将来の研究が待たれる。

*(1回の)Impaired fasting glucoseでは証明されていない。

→ここが「知識の輪→S君への手紙」をつなげている部分です。これであなたもS君!


5. (if necessary,) Summary

要約、最後の締めくくり

In summary, this study indicated that the combined use of FPG measured twice more effectively predict the progression to diabetes than a single FPG. In particular, persistent IFG adds more substantial precision to the prediction of future diabetes than transient IFG. 

まとめると............(同様の結論)

→Inoue Methods作成者は最近とみに、「ここはいらんなあ」と思っています。→作らんでもいい、これであなたも時間の節約!

 

Note

1. このOriginalはBMJのサイトにありました(現在閲覧不能)。ですが、Inoue Methodsでかなり改変しています。

2. 5のSummaryは、本質的には不要と考えています。上を見ればわかります。

3. Limitationは怖れず、ためらわず記述。Disclosure is 'Panacea.'

   (情報開示は万能薬である)


なお、Discussionに限りませんが、Paragraphの作成において大事なことがあります。へ飛んでください。

Discussionで記銘しておくこと

・完全無欠な論文なら、結果を見ただけで読者は全てを理解できるだろう。

・だが現実の世界ではそれは不可能である。

・神ならぬ我々は、自分の仕事を補足説明しなければならないし、ダメなところは白状しなければならない、でなければ読者を欺くことになる。

・したがって我々は、ほとんど情報開示のためにDiscussion(考察)を書くのだ。

 

Note

1. 本来Discussionの和訳が「考察」と言うのが不適切である。考察ではなく、その論文の意義などについて、著者は読者と「議論」をするのだ。

2.論文は科学的文章だが、Discussionが一番著者の思いを(昇華させて)記述する場所である。Passionを持って正直に記載(ある意味では白状)する。


再び、Disclosure is 'Panacea.'(情報開示は万能薬である)

Limitationは重要

Main textは、読者にその研究内容を正当に評価してもらうためのものです。そのためには、研究の限界も積極的に開示します。実際、投稿雑誌側から見ても、著者らが研究の限界や他研究との比較での弱みを把握していることは、むしろ好評価になります。

 

では、どのようなことをLimitationに書けばよいでしょうか。読者はそれまで、無論TitleやAbstract、Figures and tablesを読んで、Main textで論文の吟味をしようとしています。読者は、当たり前ですがその論文の内容が、研究結果から正当に導かれるものか(例:言い過ぎていないか)、自分たちの状況に適応しうるかなどを知りたいでしょう。したがって、Limitationではその材料を提示します.

 

・妥当性(論理的、内的、外的など)

・対象脱落群

・因果関係(観察研究では厳密にはいえない)  など

Limitation クリックで拡大(SummaryとAcknowdgmentsはオマケ)
Limitation クリックで拡大(SummaryとAcknowdgmentsはオマケ)

Limitationの例示です。なお、ページが変わった関係でParagraphの途中が空いています。最後のSummaryとAcknowedgmentsはオマケです。

 

・文頭:本研究にはいくつかの限界がある。

・第1:他の民族性を持つ集団に対する適応の注意

・第2:疾病などの医学情報が考慮されてない(他文献も引用してexcuse)

・第3:本研究では幾つかの交絡因子候補を調整しているが、無論しきれてない。無論因果関係を立証するものではない。

・第4:身体障害が自記式で主観的、客観的指標によっていない(他文献を引用して妥当性を主張)

 

Addition(オマケ)

1. Summary

  やや非定形的ですが、ここにFurther direction(将来的方向)を書いています。

  こういうやり方もあります。Discussionの冒頭と重複しすぎないために。

2. Acknowledgments

  概ねこれが標準的です。3つのカテゴリーがあると思います。

  ・資金援助や寄付をしていただいた個人(機関)に謝意を示します。

  ・公的研究助成について明記

  ・研究に協力貢献してくれたが、著者ではない人に謝意を示す。

Limitation
「高齢者の外出活動性と死亡」(縦断的論文)からのものです。上記ファイルと同じですが、見ながら検討していただく場合にはダウンロードください。
Outdoor Activity_limitationSGA.jpg
JPEG イメージ 171.1 KB