References(引用文献)
・やたらと引用する必要はない
・だが、論文に直接関連する文献は必ず引用すること
・研究仮説・疑問・分析方法が同じでなくても、同一のExposureとOutcomeであれば必ず引用する。
Disclosure is 'Panacea.' (情報開示は万能薬である)
これを読んで「にやっ」とか「ずきっ」とした人がいるでしょう。
文献の使い方
Introduction
取り扱うテーマの意義を示す
What is already known.を先行研究を提示して示す
自分たちの関連先行研究があれば、仮説形成のプロセスで入れる
Methods
測定方法やOutcomeの説明
自分たちの先行研究があれば、紹介しておく
Results
使わない! 自分たちの研究結果の説明のみ
Discussion
先行研究との比較
研究結果の説明(著者らの考える)を強化
引用文献が5本だなんてありえない!
研究は、それまでの研究の蓄積の上に立っているものです。ですので、先行研究がないなどはありえません。それと、上述のように著者はさまざまな意味で文献を引用せねばなりません。論文作成の前準備として、文献の検索はしっかりしておくべきですし、作成中にも、引用すべき文献が増えてくるはずです。
決まった基準はありませんが、
Original article(原著)で30本
Short reportで15-20本
このくらいはあっても不思議ではありません。しかし、上限は雑誌の規定に従うのは勿論です。
Referenceでの注意点(論文作成時)
最重要!
投稿論文において、引用文献のフォーマット(形式)や語句の間違いが多い!
英文であればVancouverスタイルで作っていたら間違いはありませんが、かならず投稿雑誌のスタイルをチェックしましょう。投稿規程と、できれば最近の論文サンプルでチェックするといいです。和文であれば、最初から投稿雑誌に合わせてもいいでしょう。
Diabetic Medicine掲載論文の文献例
Dinneen SF, Maldonado D, Leibson CL, Klee GG, Li H, Melton LJ, et al. Effects of changing diagnostic criteria on the risk of developing diabetes. Diabetes Care 1998; 21(9):1408-13.
上記を分解します。
*Dinneen SF, Maldonado D, Leibson CL, Klee GG, Li H, Melton LJ, et al.
著者ですね。なお、英文では姓、そしてFirst name、Second name(あれば)の略順となります。Inoue Methods作成者であればInoue Kです。最後にet al.となっているのは、日本語で言う「~ら」で、この雑誌では6名を超える著者はそう記述せよということです。「無駄に多い著者数」はやめろよ、いうメッセージにも思います。
*Effects of changing diagnostic criteria on the risk of developing diabetes.
タイトルです。なお、英語においても同じ言葉でも若干違う表現がありますね。例えばヘモグロビンですと、hemoglobinとhaemoglobinです。このときは、基本的には論文本体と表現が違っていてもオリジナルの表記のままで行きます。引用文献にたどり着けることが一番大切だからです。
*Diabetes Care
雑誌名です。なお、この雑誌はもともと簡潔なのでオリジナルそのままですが、長い場合は略称を使うのが一般的です。投稿雑誌の論文サンプルを見てみましょう。New England Journal of Medicine→N Engl J Medというように。なお、略称は英語文献であればPubMedで、和文であれば医中誌でチェックできます。
*(space)1998;21(9):1408-13.
文献の書誌情報です。上記は一般的な例で、出版年度;巻数(号数):開始ページ-終了ページ
Note
著者数:Inoue Methods作成者は、著者数が10名を頻繁に超える研究グループは、「いいかげんにせいよ」と思いますし、どんないい医学雑誌に掲載していても評価を下げます。医学雑誌側から見たら弊害でしかありません。本来はもし3名で作っている論文を、15名の著者にしたら業績に書ける人が5倍に増えます。いわば業績の粗製乱造バブルです。これは、Inoue Methods作成者は「仰ぎ見る師」から厳しく戒められました、そういう研究指導者(准教授、教授)になるな、と。こういうことをするのは恥であると、研究指導者に思ってもらいたいものですし、世の常識がそうであるべきだと思っています。→「無駄に多い著者数」
和文論文の引用:SIST
英文論文はvancouver styleで作っておいてあとで雑誌のスタイルに詳細を合わせるとして、和文はどうしたらいいでしょうか。通常の論文や書籍などの引用方法は投稿規定に載っていても、Webや学会発表などは掲載されていない場合も多いものです。
一つの候補としては、科学時技術振興機構により作成された科学技術情報流通技術基準(SIST)による「参考文献の役割と書き方」でしょう。この中に書かれている参考文献の役割ですが、Inoue Methods作成者も賛同です。
♢ 自身の論文の新規性、独創性、信頼性の明確化
♢ 先行する著者(先人・先輩)に対する敬意
♢ 出典の明示
♢ 読者に対する情報提供
例えば、投稿規定にあまり載っていない例として電子ジャーナルやWeb資料があげられます。SISTによれば、
(例) オンラインジャーナル(ページ付けがある場合)
松原茂樹, 加藤芳秀, 江川誠二. 英文作成支援ツールとしての用例文検索システムESCORT. 情報管理. 2008, vol. 51, no .4, p. 251-259,doi:10.1241/johokanri.51.251. http://joi.jlc.jst.go.jp/JST.JSTAGE/johokanri/51.251,(参照2008-08-15).
(例) オンラインジャーナル(ページ付けがない場合)
Mabon, S. A.; Misteli, T. Differential recruitment of pre-mRNA splicing factors to alternatively spliced transcripts in vivo. PLoS Biol. 2005, 3(11), e374, doi:10.1371/journal.pbio.0030374. http://biology.plosjournals.org/perlserv/?request=get-document &doi=10.1371/journal.pbio.0030374, (cited 2008-03-09).
(例) Web和文記事
中央教育審議会. “教育振興基本計画について-「教育立国」の実現に向けて-(答申)”. 文部科学省. 2008-04-18.http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/08042205.htm, (参照 2008-08-13).
(例) Web英文記事
International Organization for Standardization. “How ISO develops standards”. International Organization for Standardization.http://www.iso.org/iso/about/how_iso_develops_standards.htm, (accessed 2008-08-25).