抄録(Abstract)と論文本体(Main text)の違い
Main text(本文)では
「AbstractはMain text(本文)の要約である」、一言でいうとそうなのですが、それでもなお、両者は同一ではありません。覚えておくべきことがあります。
・Main textでは読者に詳細な情報を与える→当たり前
Title、Abstractと場合によってはFigures and tablesを見て、幸運にも読者が興味を持ち、Main textを読もうとしたとします。おそらく読者は、それらで記述されていることが間違いがないか、調べたくなるでしょう。ならば、簡単に調べられるようにします。すなわち、上の文章に加筆すると、
・Main textでは読者に(論文を評価するための)詳細な情報「だけ」を与える
No less than it, no more than it
言い換えると、基本4点セットの内容を「どうしたら読者が納得できるか」です。それに必要十分な情報を追加していきます。なお、それ以外の情報は余計ですので、全て不要です。実際、研究指導者が論文指導するときのかなりの部分は、「不要、あるいは冗長な部分を削ぎ落とす」ことになります。
そのためのMain textの作成方法を、順次各ページで述べていきます。
Main textでのみ記述される事項
例として、最もわかりやすいDiscussionで考えてみます(詳しくはリンクを参照)。
1. Statement of principal finding
主知見(せいぜい数文章で):この研究でわかったこと
2-1. Feature of the study alone
この研究の特色:いいところ
2-2. Strengths and weaknesses in relation to other studies
先行・類似研究との比較
3. Limitations
研究の限界(結果に影響を及ぼし得るものはその記述も):だめなところ
4-1. Meaning of the study: possible explanations and implications
研究の意味づけ:結局こういうこと
4-2. Unanswered questions and direction for future research
この研究で見えたわかってないこと(そして解明されるべきこと)
5. (if necessary,) Summary
要約、最後の締めくくり
この中でAbstractのConclusion(あるいはInterpretation)に記述されるのは、おそらく1と4-1ででしょう(稀に場合によっては4-2がつけ加えられるかもしれません)。残りの部分は全て、「論文を評価するための情報」なのです。
多かれ少なかれ、Main textの他の部分も、読者が論文を正しく評価するための情報を、Abstractの内容に加えて追記していきます。
ですので、Inoue Methodsでは基本4点セットから始めて、その後でMain textを作っていくのです!
Praragraph(段落)の重要性
日本語の文章では、あまり意識することはないかもしれません。しかし、実際は和文でも英文でも、Paragraph(段落)はとても重要です。
Paragraphの語源
くぎり、段落 [語源] para(=側に、脇に)+grapehin(=書く)
*出典 ALC語源辞典Web
Paragraphは、1つのトピックに対するメッセージを有します。そしてそれを構成する書く文章は、そのトピックに関することを、前後の文章で途絶えることなく記載します。
・One paraghaph has one message.
1つのParagraphは1つのまとまったメッセージを読者に届けます。
もしメッセージが新しくなったら、新しいParagraphにします。
・One sentence has just one meaning, no more than one!
1つのSentence(文章)はただ1つの意味を持つ。
もし2つの意味があれば混乱のもとなので、2つの文章にする。
*Paragraphの重要性については、Logical Skill Club(倉島保美氏)にも詳細に記載されています。→研究実施関連サイト
Main text(本文)ではParagraph(段落)を個々のSentence(文章)より重視する