高齢者は痩せているとよろしくありません(長生きできない)

*この研究内容は学究の「学」でも少し記載しています。

 

画像は十和村にて往診時のものです。地域在住の高齢者をみているうちに、どうもやせていないほうが長生きだなと思い、データを集めて解析し、期待した結果を得ました。その疑問は1998年ごろ湧き上がりましたが、論文になったのは2006年です。Aging Clin Exp Res. 2006 Jun;18(3):205-10.

 

バックグラウンドストーリー

Inoue Methods作成者は往診が好きです。診療所にかかる前の、そうEcology of Medical Careでいえば、その中で左上つまり地域で暮らしている人々の姿もまた触れることができるからです。この写真にあるお二人の高齢女性は、谷を挟んで家があります。右側の女性の家は比較的川に沿った道路に近く、座っている歩行補助車(ウォーキングカート)をついてこの屋根付駐車場まで歩いてこれます。ですが左の丸太椅子に座っている女性の家は谷の上にあり、変形性膝関節症が進んでいるため、歩いて降りることができません。この二人は友人で、昔はよく家を行き来していたようです。

 

当時から、人は健康であるためには人とのつながり、すなわちコミニュケーションが大事であると実感していました。そこで、往診時にはできるだけ2人で話をしてもらおうと思い、右の方は看護師が付き添って、左の方はInoue Methods作成者がおぶって家から連れ出しました。一番最初に、久しぶりに会った時のお二人の笑顔は忘れられません。

 

このような経験が、Inoue Methods作成者の医師としての、また研究・教育者としてのルーツになっています。

上にも少し書きましたが、地域で在住している高齢者で、しかも比較的元気な人には痩せた人があまりいないのを実感していました。

 

・高齢者でも過度の肥満は良くないだろうが、

・それよりも「やせている」ことがよろしくないのでは?

 

一方で、住民基本健康診断ではぽっちゃり(この場合Body Mass Index 25以上)では年齢にかかわらず、「あなたは肥満傾向ですから減量に努めましょう」というようなメッセージが健診結果に書かれています。こう思っていました。

 

「高齢者ではそりゃないんじゃないの?」

「少々の肥満なら好きなもの食べてもらったほうがいいんじゃないの?」

それから、

「高齢者では体型より栄養状態のほうが大事なんじゃないの?」

「80-90歳で境界型糖尿病とか高脂血症とか、治療する意味あるの?」

「食事制限するほうが、(検査値がどうとかでなく)不幸じゃないの?」

などです。

 

そこでコホート研究1で使ったベースラインデータ、追跡データの中で、ベースライン時に健康診断を受けてBody Mass Indexを知りえた65歳以上の高齢者381名について分析しました。そういう意味ではサブグループ解析ともいえます。

Table 1: 生存例と死亡例の各々の特性(クリックで拡大)
Table 1: 生存例と死亡例の各々の特性(クリックで拡大)

死亡群では生存群に比べて、

 

•高齢、男は死ぬ(当たり前?)
•酒飲みは死ぬ傾向(気をつけよう(‘;’))
•クレアチニン値が高いと死ぬ
•(なんと)LDL-C値が低いと死ぬ傾向
•(なんと)BMIが低いと死ぬ
上記がわかりました。なお、LDL-C値は低すぎてもいけないとは最近言われていることですが、この研究結果でもその傾向はあったんですね!

 

Table 3:死亡に関わる多変量解析 & Figure 1: 生存曲線(クリックで拡大)
Table 3:死亡に関わる多変量解析 & Figure 1: 生存曲線(クリックで拡大)

Table 3では、

Body mass indexが1上がるごとに死亡に関するハザード比が0.8になるということですね。他の因子を考慮しても。

つまり、太ると死ににくいと、こういうわけです。

Figure 1では、

生存曲線を描いていますが、BMIが25以上の人は、なんと5年で死んでません。普通(18.5-25)は中間、よりやせ(18.5未満)は一番生存曲線が下がっています。

お待たせ、Inoue Methods作成者久々のボイス説明です!(待ってない?)