結果(Results):簡単に見えるが...

・得られた研究結果を図表にし、それを説明していく

 

上述の通りなのですが、いくつか注意点があります。

Methodsとの区別

論文を指導していると、よく次のような場合に遭遇します。

 

・Methodsに書かれるべきことがResultsに書かれている、あるいはその逆

 

どこからResultsに書くべきなのでしょうか。それは、「研究対象が規定された後」です。例えば疫学的研究を例に取ります。この「高齢者の外出活動性と死亡」の論文では、当初(1995年1月1日)住民基本台帳に登録された十和村の高齢者1,023名を対象としましたが、ベースラインのアンケート調査が期間中に実施できなかった、実際に居住していない、あるいは(ほとんどいませんでしたが)どうしても追跡できないなどで、結局分析対象となったのは863名でした。であるならば、Resultsにおいては徹頭徹尾、この863名に関して記述するべきです。でなければ、「分母」が揺れ動くことになり、信頼性も損なわれ、また読者にも非常に理解しにくくなります。

 

「Resultsでは、研究対象群が規定された以降から分析結果の最後まで記載する」

決して、研究対象群を変えてはいけない!

サブグループ解析


なお、研究対象群の中でさらに選別することがあります。高齢者だけや性別を分けて、などが例ですがこれをサブグループ解析といいます。これは一見、上と矛盾しているようですが、根底は同じです。「その」研究対象群はもともとは最初に規定されたものですので。

 

注意点:サブグループ解析の結果を主知見(Main findngs)にしてはいけない。もしそうするなら、その論文は最初から「その」サブグループを対象とするべきである。あくまで付帯的な情報である。たまにこの間違いをおかしている例に出会います。

 

ex. The A was associated with B, which associtation was more prominent in subgroup X than in subgroup Y.((研究の結果)AはBと関連していました、特にそれはグループXにおいてグループYより著明でした)

この場合、句点以下はサブグループ解析による付帯情報になります。

Figure and tables(図表)の清書

Tableの例 Table 1ではこのように、研究対象者の基本属性を記述します(クリックで拡大)
Tableの例 Table 1ではこのように、研究対象者の基本属性を記述します(クリックで拡大)

基本4点セット中の図表の清書をここで行います。

 

・図表のフォーマットを投稿雑誌に合わせる(雑誌の他の論文を見ればいい)

・各図表のTitleの見直し

・Footnote(脚注)の追加

  図表は自明(Self explanatory)、つまり本文を参照しなくても理解できないといけないので、必要な説明を追加します。Table 1の下部にあるのがFootnoteです。

 

ここで清書する理由

  この段階までは、内容の変更が頻繁にある

  ・Resultsでの記述は、Figures and tablesと細部まで密接に関係している

Figures and tables: points

Figures and tablesで留意するべきポイントです。まず、何を記載するべきでしょうか。

 

1. Figures and tablesはResultsのコア(中心)情報を掲載する

  Abstractと同時に見ながら、必要な情報だけを記載します。初心者の陥りがちなミスは(本文もそうですが)、あれもこれもと詰め込むことです。簡潔な図表のほうが見やすく、したがって理解されやすいです。

 

2. Figureはハイライトである

  研究から導き出されたもっとも印象的な成果を出します。したがって、順序で言えば後にくることになります。逆で、最初にFigureがきて後にTableでは読者にとって読みにくく、また印象も薄まります。例外は、例えばMethodsにおける対象者の選定ステップでのFigureですが、これは正確にはResultsのものではないですね。

 

3. 多すぎるFigures and tablesは逆効果である

  Tableもそうですが、ともすると数が多すぎる例があります。少ないほうがベターです。当初6個作ったら5個にできないか、また5個作ったら4個にできないか考えます。また、もし1-2文で説明しうるFigureやTableは、作成せず、Resultsの文章で説明できないか考えます。常に、Small is beautiful.です。同一デザインのFigureはできるだけ合体させることを考えます。

Resultsに記載する事項

Resultsには、当該の研究を行って得られた情報だけを記載します。決して、解釈を入れてはいけません。それはDiscussionでするべきことです。

 

適切にFigures and tablesが作成されているなら、Resultsの文章は以下から構成されます。

Figures and tablesの各々の要旨の説明と補足説明

Figures and tablesに掲載されてないが必要な情報

Resultsの構成要素と役割

Resultsの各構成要素の特徴を知って、適切にResultsを提示しましょう。

Table

・情報量は多い and/or 多次元的

・理解するのに時間がかかる

→基本特性あるいはその単純比較など列挙が必要な場合

Message「こういう集団です、あるいは観察してこうなりました」


Figure

・一目で理解しうる

・情報量は少ない and/or 単次元的

→読者に提示する中核的情報がFigureで明快になる場合(よってFigureは必須ではない)

Message「ここがこの研究のPointです」


Text

・スペースをとらない

・読む必要がある

→Tableにする必要のない情報 and/or Tables and figuresの説明・補足

Messsage「読んでもらうとつながりがわかります」

Figureは無理して作る必要はない

上からもわかるように、TableとTextで著者のいいたいことが説明できるなら、Figureは「無理して」作る必要はありません。実際、「これ、Figureにする必要あるのかな?」と思う例に遭遇します。

 

それでは見栄えが、、、と思うかもしれませんが、大事なのは中身です。気にしなくてかまいません。

Tableを作成するに当たって

Tableの作成にあたって、「おおまかな」原則があります。

 

Table 1

ほとんどの例において、研究対象者の基本特性を記述することになります。

・全体集団 and/or グループ分けした集団

Message「我々はこんな集団を調査しました」

特性の記載で、その論文の分析に関係ないものを記載するのはこのTable 1だけです。

 

Table 2 -Table (Last-1)

研究仮説や疑問に基づいた基本的分析 and/or 最終結果(Table Last)のための準備的分析