論文本体(Main text)を作る順序

過去から現在へ(図の意味はちょっと違うと思いますが(笑))
過去から現在へ(図の意味はちょっと違うと思いますが(笑))

どう作るか→Inoue Methods全体にもかかわるテーマ

Look at Paper writing wheel!

 

作成順 MRDI(Methods,Results,Discussion,Introduction)

・このSequence(順序)で文章作成の水準が高くなる

  作成しやすいものから作っていきます。

この順序で、読者に近くなっていく

  読者はAudience、つまり観客です。

  観客から一番遠い場所(過去=なされたこと)から近づいていきます。

  著者も、時系列のほうが作りやすい。

・別の言い方をすると(参加者)

  Methods & Results→著者Only

  Discussion→著者と読者(対話):著者は案内役、読者は客人

  Introduction→読者と著者(提示):読者は立ち寄ったStranger*、著者はホスト

(プラス)Inoue Methodsでの理由の根拠

  論文テキストを書き始めるときには、基本4点セットができているはずです。

  ですので、全体の俯瞰図ができています。

  論文の記載順に作る必要から解放されています、既に。

  ならば、作りやすいところから作りましょう。

 

*味わい深い名曲です、Inoue Methods作成者の青春時代の歌です;; なお、好きな歌の歌詞を読むことは効果のある英語学習法だと思います。

*書く順序についての別の方のページです。Inoue Methodsと同じところもありますが、違いもあります。多様性は重要です、読んでみてください。

 

論文テキストのNature

Methods 構造化(Structured)文章で作れる

Results Figure and tablesに即して構造化(Structured)文章で作れる

Discussion 構造化(Structured)文章で作れる

Introduction 完全な構造化(Structured)文章にはならない *後述

 

Inoue Methodsでは、この順序に読者に近づき、したがってレベルも上がっていくと考えます。

なぜ1番目がMethodsか

理由1

IMRADをさらに細分化したとき、Methodsが一番定型的、かつ記載されるべき項目がはっきりしている(楽な定型作業から始める)。

理由2

自分たちの関連先行研究があるなら、文章の材料はそれを利用できる(楽な作業から始める)。

理由3

基本4点セットのAbstractのうち、MethodsとResultsはそのまま骨子として使える。

理由4(一番大事)

時系列で考えたほうが、人間の脳は楽だからです。

Methods:過去にしたこと、想起しやすく固定されている

Results (and figures/tables):現在得たもの(変わるかも)

Discussion:得たものの意義づけ、比較、限界、将来的方向(上が変わったら変わる)

Introduction:それらをひっくるめて、研究の紹介(上が変わったら変わる)*

 

*(少なくとも清書において)、なぜIntroductionが最後に来るのかは後述します。

 

Note:こんなに各セクションが変更されてはいけない、Inoue Methodsはおかしいという声もあるかもしれません。でも現実はそうです。

それでも、TitleとOriginality boxに大幅な変更がなければOK(研究者の伝えたいことは本質的に変わらない)

なぜ2番目がResults (figures and tables)か

上述しましたが、これが現在得られたものだからです。すでに基本4点セットで、Resultsの骨子とFigures and tablesは草稿ができています。Figures and tablesに沿って、Resultsを肉付けしていきます。

Figure 1:Subject enrollment(対象者の絞り込みなど)

Table 1:Subject characteristics(対象者の基本属性など)

Table 2:Outcome information(説明変数と追跡結果の関係など)

Table 3:Multivariate analysis(多変量解析結果)

場合によってはこれに結果のハイライトとして、Figure 2

 

Resultsもまた、比較的定型的です。なぜなら、

「説明したMethodsを実施して得られた情報を、わかりやすく順番に開示していく」

からです。

Discussionが3番目に来る理由

Sub-message:「考察」してはいけない、読者と「その研究」について議論するのだ

これまでの説明で明白かもしれません。Methodsで「どうやって研究をしたか」を提示し、Resultsでその結果をわかりやすいFigures and Tables(図表)と提示します。

論文全体の作成順(Sequence)

おさらいです。TATFOMRDIとなります。

 

Title

Abstract

Tables & Figures

Originalty box  *ここまでが基本4点セット、一括して作成

Methods

Results

Discussion

Introduction

Main text(論文本体)作成開始&直後の注意点:用語を統一する

この時点での覚えておくべき注意点(Tips)があります。それは、核となるキーワードの統一です。

 

例:糖尿病発症の予測に使われる指標

ある論文作成において、最初はpredictor, marker, profile, risk factor等を混在して使っていた。その論文は予測能について検討するので以下の判断をしてmarkerを採用した。

predictor:論文でこう書くと予測因子であることが既定となり、読者に誤解を呼ぶ

profile:あいまいな表現である

risk factor:予測能についての記述では、やや概念が異なる

 

ですので、論文本体を作成するまでには用語の統一をするべきです、 使用される言葉によって意味が変わり、読者の理解に影響しますから。

 

「著者は読者を迷うことなくストーリーへ誘い、導く」

 

*関連質問

若手研究者(W):こういうことはよくおこるんですか?

IM Mentor(IM):うん、そう稀ではないね

W:論文を作成するときは、使われる用語は統一されているものと思ってました

IM:それが理想だけどね、でもね、実際の論文作成の初期を考えてごらん

W:どのあたりでしょうか?

IM:Originality Boxの中にある

W:ああ、これまでわかっていること(What is already known.)ですか

IM:そうだよ、それらは多く、先行研究から得られるものだよね。そうした研究は、「この」研究と同じではない、だからさまざまな用語が使われ得るし、著者も影響を受ける。

W:では論文作成初期は、著者もどういう用語を使うか、迷うんですね。

IM:そういうときもあるし、そうでないときもあるけどね。でも前者においては、論文本体に手を付けたときにまずすべきことなのだ。箇所箇所に違う言葉が使われていては、論文として不統一だし、読者も理解できないからね。