令和2(2020)年度科学研究費研究実施報告

基盤研究(C)(一般) 

課題番号 20K10332

研究課題「医師の属性は人口地理的分布にどのように関わっているか-縦断的分析-」

補助事業期間 令和2年度~ 令和6年度

 

・令和2年度研究実施報告書・研究実績の概要

2020年度は、当初の研究計画では1998・2008・2018年の医師調査ファイルを目的外使用の申請を行い、取得予定であった。しかしながらCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行により、厚生労働省での業務が滞っているため申請作業も行えなかった。したがって、研究課題に関連した先行研究や書籍、Web資料の調査を行い、研究仮説とデザインの検討を行った。 

我々の先行研究では、医師の属性としてキャリア早期の就業地域 (非都市部)、プライマリ・ケアの要素を持つ診療科(内科、小児科等)、性別(男性)が、多変量解析では独立して将来の非都市部地域の勤務と関連していた。しかしながら、これらの因子は一方でそれぞれ影響を及ぼしあっている可能性がある。加えて、近年の傾向として女性医師の増加があり、これは将来にわたって持続すると考えられる。したがって、医師属性の中でもまず性別に着目することは、将来の動向を予測するという点からも重要である。 

我々が最近調査したところでは、女性医師は男性医師に比していずれの年齢層でも非都市部の勤務が少なかった。一方で、女性医師の割合が高い診療科(皮膚科、産婦人科、眼科、麻酔科など)があることが知られている。加えて性別は不変の因子である。したがって男性および女性医師で前述の非都市勤務と関連する要素(キャリア早期の勤務地と診療科)に着眼した比較分析を行うのが妥当と考えた。さらに、非都市部勤務については細分化し、医師不足地域あるいは地理的に僻遠地に着目した分析が必要であると結論付けた。 

 

キーワード 医師属性 女性医師 就業地域 診療科分布