0. Letterとは

雑誌によってはLetter(例:BMJ)ではなくLetter to the editor(例)とか、Correspondence(例:Lancet)とも呼んでいます。

Letterのカテゴリは以下の3つに大別されます。

・掲載論文へのコメントや意見

・ミニサイズの研究記述(例えばTable 0-1個、500語以内とか)

・両者のハイブリッドとして、掲載論文の結果に自分のデータで反論する場合

 

雑誌はいずれも、このセクションへの投稿を歓迎しています。

・読者からのResponseで、議論(Debate)が活発になる

・他の読者も、興味を持って読んでくれる

 

Info for autthors(抜粋)

BMJ

Please note that all letters to the editor must be submitted as rapid responses to articles published on bmj.com. Use search on bmj.com to find the article you are responding to and then click on the link at the top of the page marked "Respond to this article". 

ですのでBMJでは、掲載論文へのResponseだけということになります。

Lancet

  • We welcome correspondence on content published in The Lancet or on other topics of interest to our readers
  • Letters for publication in the print journal must reach us within 2 weeks of publication of the original item and should be no longer than 250 words.

ですのでLancetでは、掲載論文へのResponseと、それ以外でもミニサイズの研究論文(A small research paper)もありますね。

 

1. 新論文のチェック

誰しも、興味を持っていらべていることがあるでしょう。それに関連する論文をJournalのアラート機能などを使って、新着したらチェックします。

 

もし自分がその論文に対して意見があったら、早速投稿既定のLetter欄を見て、500字程度の論文を作りましょう。なお、どんなに遅くても雑誌プリントアウトが発行されて1か月以内に投稿するべきです。オンラインや、さらにその前のプレ公表版の時に投稿できればベターです。

2. 一気に書き上げる

その週のうちに書いて、提出してください。自分の意見、感想ですから。この時に気を付けることは、「自分の意見を鮮明にする」です。特に論文に対するLetterは、雑誌側はDebateが活発になるということで歓迎します。Debateの鉄則として、例えばその論文に対して反対であるなど、立場をはっきりさせてください。

3. 共著者は1-2名のみ

信頼のできる、しかも即答をくれる研究者に見せましょう。スピード勝負です。教授でもいいですが、即答しない人は×です。読んでもいないのに後になって、「なんであのLetterに名前を入れなかった?」というような教授は、お里が知れます、そんなものだと思っておきましょう。本来、Letterは私信の要素があって、Personal Comminucationですから。

 

共著者は、あなたの論文を第3者的立場で見てくれるひとがいいです。投稿後、雑誌側ではEditorが即座に受理、不受理を決めますので、「いくらなんでもここは言いすぎじゃないか」などとあったら、取り上げてくれません。

4. Online Editing

原稿ができたら、さっさとNative Checkをかけましょう。600字くらいまでなら、15ドル程度できちんとやってくれるところがあります。クレジットカードを使って、すべてオンラインで済んでしまいます。1-2日でメールで返ってきますので、Natice Checkで内容が変わってないか確認ししたらすぐオンライン投稿しましょう。多くの雑誌は、メールでも受け付けています。送ったら、雑誌側から受け取ったっ返事がきます、確認しておきましょう。後は座して、結果を待つのみです。

 

なお、どこにCheckに出すか、は、私(井上和男)は同僚には話しますが、そうした共同研究者に限定します。そのNative Checkサービスの中で、どのCheckerに頼むといいかも同様です。

最近のLetter

Lancet Japan Special Seriesの論文に対して、松本正俊先生が筆頭で書いたものです。The Lancet, Volume 378, Issue 9807, Page e17, 3 December 2011

 

以下は、初期の和文バージョンについての私のコメントです。

1. ここも問題とされています。例えばあまりにも多い専門医(Specialoids)で症例が分散し、レベルが高まらない。

2. 真の専門医ですね。

3. Family physicianがいいでしょう。

 

どこのことを言っているか、推測してみてください。

Correspondence in Nature

ここではIM Mentorが十和村診療所医師時代にNatureに投稿したCorrespondenceを紹介します。東海村原子力事故は皆様も覚えているでしょう。報道を見聞きしているうちに、こう思いました。

「なんて安全管理がずさんなんだろう」

 

資料を通読していると、あることに気づきました。行政府は無論でしょうが、関連した企業や団体のトップの発言が的確でなく、また要領を得てないことです。見ると、その多くが現場を知るその科学技術の経験者でなく、事務畑出身であること、そして多くの企業に官僚がトップとして天下っていました。もしかしたら原子力畑はその傾向が強いのかもしれません。その分野の経験者がトップ、あるいはその近くにいない日本の社会構造は、こういう事態には適切に対応できないのだと感じました。

 

その時に折よく、Natureにこの事故における安全管理についての記事が掲載されました。この問題は日本の原子力にとどまらず、普遍的な問題提起をしていると感じ、早速この記事に対してのResponseとして小論文を書きました。この小論文のタイトルは当初、「日本における安全管理の欠如」というようなものでしたが、Natureにより「官僚主義が日本の安全管理を損なう」というようにストレートなものに変更となりました。

 

今再び、福島第一原子力発電所事故と、その後の報道を見るにつけ、同じ思いを感じざるを得ません。

Bureaucracy blights Japan's safety recor
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