学位論文Q&A

質問 「学位認定のための論文について教えてください」

 

上記のような質問を時々受けます。その回答をまとめました。

回答

 

まずそのカテゴリーについて話します。以下はWikipediaからの出典を編集したものですが、IM Mentorもほぼ同意します。

・学士論文(卒業論文)          

  学部卒業のため(学士の学位を取得するため)の論文。学士論文と呼ぶこともある。学部によっては課されない。

・修士論文          

  大学院で修士の学位を取得するための論文。なお、修士は博士前期課程と表現するところもあります(専門職大学院も同じ)。

・博士論文          

  大学院で博士の学位を取得するための論文。または、在学しないものが博士号学位の認定(論文博士)を請求するために大学院に提出する論文。なお、修士の博士前期課程に対応して、博士後期課程と表現するところもあります(専門職大学院も同じ)。

 

なお、例外として以下があります。

課題研究履修

  専門職大学院は学位取得の要件として、修士論文を必須条件としないため、論文提出の有無は各大学院の判断による。論文の必要がない大学院は修士論文に相当する科目(特定課題研究)を学生に履修させることで、単位認定を行う。なお、単位認定なので、この成果は報告書になります。論文とはその性質も、水準もまったく違うので、論文作成と同一ではありません。

 

1)論文はInoue Methodsではこう定義します。「その論文に関心を持つ人々に伝えるべき明快なメッセージを持つ、科学的手法に基づいて記述される文章の秩序ある集合体」この原則はどの学位論文でも変わりません。ですのでどのレベルでも独創性と新奇性は必須です。ただし当然ながら下に行くに連れて、それらに加えて完成度などその要求水準は高くなります(課題研究は論文ではないのでそもそも例外)。

 

2)専門職大学院における「特定課題研究」は留意点があります。本来、実践研究者を養成する場所ですので、目指す理由が「原著論文あるいは博士論文(PhD)を作成する力を身につける」というのであれば合致しないことがあります。従ってそういうことを期待した人はボタンのかけ違い、つまり「これは違った」となる可能性があります→下の記事を参考にしてください。

 

3)どの学位論文も、当該の学位認定を受けるためのものです。したがって、各々のレベルの研究者としての必要なものは備えてますよ、というスターターライセンスに過ぎません。研究者としての評価は、筆頭著者として原著論文を完成させ、第3者評価(=査読)を受けて出版しその成果を世に出すことで得るものです。

 

いずれの論文も成果を「査読を受けた論文」として世に出さなければ科学への貢献にはならない

→したがって博士などでは雑誌掲載が条件となっている