看護研究とPractice based research、そしてInoue Methods

Practice based researchを提唱するInoue Methods作成者は、この研究手法が狭義の医学だけでなく福祉や介護、そして看護といった分野での研究にも親和性があると思っています。

 

また言い換えれば、より人々の暮らし、地域に近いところにあるプライマリ・ケア分野の研究は、必然的にそうした分野の視点を持つのだと思います。Inoue Methods作成者のPBRはその多くがそうした視点を持っています。

例示:コホート研究

「看護研究」(医学書院)のWebサイトから

つい最近、看護学雑誌「看護研究」(医学書院)のWebサイトで以下の記事を読みました。

 

【対談】
研究以前のリテラシー
深井喜代子氏(岡山大学大学院教授・基礎看護学) 西條剛央氏(早稲田大学大学院商学研究科 専門職学位課程講師(MBA))

 

以下はそこからの抜粋、深井先生の発言です。

 

「わが国のほとんどの大規模病院では「看護研究」を奨励し,院内発表会を開催したり,そのうちのいくつかを国内外の学会で公表していると思います。私が臨床を経験した東海大学病院でもそうでした。その後,看護系大学で教育・研究職に就いてからも,近隣の病院の看護師たちが興味の有無にかかわらず「(本当は乗り気でないけど)今年は担当に当たっているんです」と言って,相談を持ちかけてくるという経験をしてきました。実践者が行う研究というのは本来,実践の場で行き詰まったり,疑問に思ったことに対して研究的なアプローチをして,何らかの解決の糸口を見いだす目的で始められるものではないでしょうか。

→まさにPractice based researchの本質です。

例示:Inoue Methods作成者による縦断的研究

 

Practice based researchの視野・手法は分野を問わない

「そこにいて実践する人々」が行う研究なのだ

看護系大学(学部)の現状

看護系大学(学部)の推移(クリックで拡大)
看護系大学(学部)の推移(クリックで拡大)

左図は日本における看護系大学(学部)の数の推移です。戦後数十年、ほぼ横ばいないし微増傾向であったのが、1992年の法律制定以降激増し、その時点では20前後であったのがほぼ10倍にわずが20年でなりました。

 

これには我が国の人口構造の変化、それにともなう医療から介護へのシフトなどが背景にあることは間違いありません。また、大学としては、そうした社会的要請に応えるということもあるでしょうが、人口減少を見据えて学生の確保が見込める分野への参入という面もあったと思います。

 

教育という点でしかしInoue Methods作成者は、別の論ずるべき事項を思い浮かべます。それは、充実した教育のための教員養成がどうなっているかです。増加に見合った、質を伴った教員が供給されていれば問題はないのですが、現状は必ずしもそうではないようです。なかには、看護学校から大学の学部へ昇格した例もあるでしょうが、それならばなお、言いたいことがあります。

 

看護学部はあくまで大学の「学部」である

大学とは教育と研究の場所である

 

Inoue Methods作成者はこう思います。

・看護研究にはPractice based researchの視点が欠かせない

・Inoue Methodsは、看護研究においても有効である